社会人から看護師になるには何年かかる?
学費はどれくらい必要?
これから看護師を目指す社会人の方は、どのルートを選べばいいか、学費は総額でどれくらいかかるのかといった疑問をお持ちの方も多いと思います。
今回は私の体験談を元に、准看護学校入学から看護師免許取得までの流れ、かかった学費や病院奨学金(御礼奉公)の疑問についてご紹介します。
私は准看護学校(2年)→正看護学校(3年)のルートで看護師免許を取得しました!
社会人から看護師を目指すルート
看護師になるためには、大学や看護専門学校、准看護学校→正看護学校を卒業して、看護師国家試験に合格することが必要です。
社会人から看護師を目指すルート
- 看護大学
- 看護短大
- 看護専門学校
- 准看護学校→正看護学校
このように社会人から看護師を目指すルートはいくつかあり、私は准看護学校2年、正看護学校3年の合計5年間かけて看護学校を卒業しています。
看護師と准看護師の違い
- 保有資格が違う
- 業務内容には大きな差はない
- 給与水準は准看護師より看護師の方が高い
- キャリアアップに差が出る
看護師と准看護師では仕事内容に関してはほとんど違いはなく、患者さんの立場だと看護師と准看護師の違いは気にならないことが多いです。
正看護師 | 准看護師 | |
免許 | 厚生労働大臣の免許(国家資格) | 都道府県知事発行の免許 |
必要な授業時間 | 3,000時間以上の履修・1,035時間以上の実習が必要 | 3〜4年2年 1,890時間以上の履修・735時間以上の実習が必要 |
入学に必要な学歴 | 高校卒業 | 中学卒業 |
業務の進め方 | 自らの判断で業務を行える | 医師・歯科医師・看護師の指示が必要 |
准看護師は廃止される?
医療の高度化・多様化に伴い、厚生労働省は准看護師を廃止し看護師へ一本化する提言を出していますが、まだ具体的な期限は決まっていません。
准看護師の人数が年々減少していることもあり、都道府県によっては准看護師養成学校がゼロの自治体もあるようです。
しかし、准看護師は看護師に比べ学費が安く資格取得までの期間も短いという点で、特に看護師不足が深刻な地域医療の現場ではまだまだ必要とされている資格です。
看護師は給料水準が高いため、地域の個人病院やクリニックでは確保が難しいという背景があり、准看護師が重宝されることもあります。
保有資格が違う
看護師と准看護師の大きな違いは、持っている資格が違うということ。正看護師は厚生労働省が発行する「国家資格」ですが、准看護師の免許は都道府県知事が認可したものです。
- 看護師 厚生労働省認可の国家資格
3〜4年課程で3,000時間以上の履修・1,035時間以上の実習が必要
- 准看護師 都道府県知事発行の免許
2年課程で1,890時間以上の履修・735時間以上の実習が必要
正看護師になるためには高校卒業が必須ですが、准看護師は中学校卒業資格があれば准看護学校や高校の看護科などの養成所に入学できます。
受験資格取得までの学習内容や単位取得に必要な履修時間が異なることもあり、准看護師の方が資格取得にかかる必要期間は短く、試験の難易度も低いです。
業務内容に大きな差はない
看護師と准看護師の業務に大きな差はなく、病棟勤務であれば入院患者を受け持ち、採血やその他の医療処置、夜勤なども同じように行います。
ただし准看護師は医師や正看護師の指示に従いながら業務を行うことが前提で、看護についての自己判断は行えないとされています。
そのため、緊急な判断が必要とされる場面が多い高度医療の現場では、准看護師の勤務に制限がかかっていることが多いです。
私が勤務した一般病院では、准看護師はリーダーを行わない、夜勤は必ず正看護師と准看護師がペアになるよう決まりがありました。
給料水準は准看護師より看護師が高い
看護師と准看護師では業務内容・勤務時間に大きな差はありませんが、持っている資格が違うということから給料に差が出ます。
看護師と准看護師の月収やボーナス、年収は、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、以下のようになっています。
正看護師 | 准看護師 | |
月給 | 35万円 | 29万円 |
年間賞与 | 86万円 | 63万円 |
年収 | 508万円 | 412万円 |
看護師と准看護師の給料を比較してみると、年収で約100万円ほども差が出ることが分かります。
准看護師は将来的にキャリアアップが望めず昇進や昇格が難しいことから、生涯年収で考えるとさらに差が開くことが予想されます。
求人情報を見てみても、看護師と准看護師では基本給で3〜4万円ほど差があります。
キャリアアップに差が出る
看護師は将来的に師長や看護部長など管理職へ昇進できますが、准看護師は一般的に管理職になれないことがほとんどです。
看護師は新人指導、実習指導などを経験しながら昇進し、キャリアップすることで病院の運営などマネジメントにも携わることもあります。
しかし准看護師はどんなに優秀な人であっても、こういったキャリアアップは望めません。
入職時は看護師と准看護師では業務内容には大きな差はありませんが、長い目で見ると任される業務や将来的なキャリアップに大きな差が出てしまいます。
准看護師から正看護師を目指すルート
ここからは、実際に私が社会人から准看護師→正看護師を目指した時の体験談をお話しします。
看護学校は全日制と定時制の2種類
看護師養成課程は全日制・定時制のふたつがあり、希望する生活スタイルに合わせて学校を選びます。
特に、社会人から看護師を目指す方は働きながら通学することが多いと思いますが、どの学校を選ぶかによって生活スタイルが大きく変わります。
全日制 | 定時制 |
---|---|
週3日通学する学校が多い(学校によって異なる) | 授業は朝〜夕方まで週5日通学する学校が多い(学校によって異なる) | 授業は午後や夜間に行う
全日制では朝〜夕方まで授業があるのが一般的で、定時制は午後や夜間にかけて授業が行われます
私が通っていた准看護学校は定時制、正看護学校は全日制でした!
准看護学校時代のスケジュール
私は准看護学校の入学と同時に病院へ入職し、療養病棟で看護助手として勤務しながら学生生活を送りました。
准看学校が定時制だったため、週5日通学するスタイルです。
平日のスケジュール
- 7:30〜11:30 病棟勤務
- 13:00〜17:00 授業
- 18:00〜20:00 病棟勤務
土日のスケジュール
- 7:30〜16:30 早出
- 8:30〜17:30 日勤
- 10:30〜19:30 遅出
- 16:00〜9:30 夜勤
平日は午前中の業務のあとに授業を受け、遅出業務に戻るというスケジュールです。土日は夜勤が入るか、夜勤が入らない週は土日のどちらかが休みになり、基本的には休みは月に4回でした。
休みが月に4回というのは強制ではなかったのですが、やはり生活費も必要なので、学生はシフトに入れるよう調整してもらえていました。
おそらく人生で一番働いた時期です。
同期がいたので頑張れました♩
勤務先の方針によって勤労学生の働き方はさまざまで、夜勤なし、学校の後は直帰、外来勤務の友人もいました。
病院勤務が必須ではないので、コンビニやカフェ、グループホーム、歯科助手のバイトをしながら通学している友人もいました。
正看護学校時代のスケジュール
2年制の看護専門学校は、准看護師が正看護師へステップアップするための学校です。
准看学生の頃に入職した病院で引き続き勤務しながら通学しました。すでに准看護師の免許を取得しているので、准看護師として看護業務を行いながらの看護学生です。
学校がある日のスケジュール
- 9:00〜16:00 学校(月・水・金)
- 17:00〜9:00 夜勤
(学校終わりの夜勤が入ることもある)
学校がない日のスケジュール
- 7:30〜16:30 早出
- 8:30〜17:30 日勤
- 10:30〜19:30 遅出
- 16:00〜9:30 夜勤
正看護学校は全日制だったので、1・2年時は月・水・金の隔日で通学し、学校が休みの日に出勤します。
3年時は実習のため月〜金で通学が必要で働けなくなるので、3年生になるタイミングで一旦退職しますが、長期休暇や実習が忙しくない週の土日はバイトに行っていました。
准看学生時代に引き続き、休みは基本的には月に4回ですが、学校前の早出・遅出業務がなくなったので体力的にかなり楽でした。
看護師になるために必要な学費
看護師になるためには通う学校の種類にもよりますが、入学金や授業料、教科書代など合わせると300〜400万円程度かかります。
特に初年度はかかる負担が大きいので、余裕を持って費用を準備しておきましょう。
准看護学校 | 正看護学校 | |
入学金 | 100,000円 | 150,000円 |
授業料 | 800,000円(2年間) | 1,950,000円(3年間) |
施設費 | 50,000円 | 80,000円 |
教科書・教材費 | 150,000円 | 200,000円 |
臨地実習費 | 30,000円 | 50,000円 |
制服・白衣代 | 80,000円 | 100,000円 |
准看護学校→正看護学校卒業までにかかる費用はだいたいこれぐらいです。
私が卒業した学校は准看護学校と正看護学校の母体は同じだったので、准看護学校を卒業しすぐに正看護学校に進学する場合は、入学金や施設費は免除になりました。
また、進学に伴い制服や白衣が変わったので、それぞれに料金がかかるといった感じです。
この他にも自分で購入する参考書や学級費、実習の保険料、模試の費用などが別に発生します。
看護学生が利用できる奨学金制度
看護師になるためには学費の他にも白衣代や参考書など、思ってる以上に費用がかかります。
社会人から看護師を目指すとなると生活費も自分で捻出しなければならないため、看護学校に入学するのはハードルが高いな‥と躊躇することもあるかもしれません。
特に実習期間中はアルバイトに行く余裕もないことから、経済的なダメージは大きいです。
いくつか奨学金制度も用意されているので、なるべく費用を抑えられるように工夫するのもひとつの手段です。
病院奨学金制度
- 病院独自の奨学金制度
- 採用された看護学生は病院から一定金額の貸与を受けることができる
- 卒業後にその病院へ就職し、一定の期間(平均2〜5年間)働くことで返済が免除される
奨学金を借りた病院で貸与を受けた金額・期間の分だけ働くことで返済を免除されるシステムのことで、御礼奉公とも呼ばれます。
返済が免除されるだけでなく、奨学金の貸与が決まった時点で就職も決まるといった嬉しいメリットがありますが、御礼奉公の期間中に退職した場合は全額一括返済となることが多いので注意が必要です。
毎月の貸与金額が増えると卒業後に働く期間も延長されます。また、病院によって御礼奉公の期間が異なるので、よく調べて自分に合った病院を選んでください。
私の友人は7年間という御礼奉公を無事に勤務しましたが、7年は長いですね‥。
日本学生支援機構の奨学金
- 独立行政法人の日本学生支援機構が運営する
- 貸与額を毎月分割で受け取る
- 学校に通う本人が債務者となり、卒業後に返済が開始する
経済的な理由で修学を諦めることのないように支援することを目的に国が実施している制度です。看護学生だけでなく、一般の大学生や専門学校生など多くの方が利用しています。
貸与型の奨学金は利息が発生しない「第一種奨学金」と有利子の「第二種奨学金」があります。第二種奨学金を利用した場合は、利息を含めて卒業後から返済が開始します。
病院奨学金と違って返済の義務がありますが、仕事を辞めてしまったとしても、一括返済などのペナルティはありません。
看護師等修学金貸与事業
- 地方自治体が奨学金を貸与する制度
- 卒業後に貸与を受けた自治体の指定施設で勤務することで返還が免除される
修学支援、看護師確保の目的で地方自治体が奨学金を貸与する制度のことで、卒業後に指定の施設で決められた期間勤務することが条件で返還が免除されます。
病院奨学金と同じで、期間内に退職した場合や、卒業から1年以内に看護師免許を取得できなかった場合は、一括返済しなければなりません。(自治体によって条件は異なる)
多くの自治体では、200床未満の病院や療養型病院などが指定されていて、大学病院や大規模な病院は対象外となっています。
卒業後に大きな病院で働きたいと考えている場合は、この奨学金はおすすめできません。
まとめ
准看護学校→正看護学校へ進学した体験談をお伝えしました。
准看護師から正看護師を目指すコースは、ほかのコースに比べて期間がかかります。しかし、学習ペースにゆとりがある点と、働きながら一定の収入を得つつ通学できるという点は大きな魅力です。
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