退職した後は、年金の切り替えは自分でやるの?
病院やクリニックを退職してどこの就業機関にも属さない期間が発生する場合、それまで加入していた厚生年金から国民年金へ加入するか、家族の扶養に入るか2つの選択肢があります。
私は看護学校で社会保障制度の授業があったにも関わらず、国試が終わったら全部忘れてしまい転職時に慌ててしまった経験があります。
今回の記事では退職後に必要な「年金」の手続き方法についてご紹介します。
転職前に事前に知っておくと、バタバタしなくて安心です♪
退職後に必要な手続きは全部で4つ
退職後に必要な手続きは次の4つです。
- 税金(所得税・住民税)
- 年金
- 健康保険
- 雇用保険
今回は、退職後に必要な4つの手続きの「年金」について解説します。
就業中は給料から天引きされる形で年金保険料を納めています。退職時は厚生年金の脱退手続きは行ってもらえますが、国民年金への加入手続きは自分で行わなくてはなりません。
年金制度のおさらい
公的年金とは?
- 日本国民全員が安心して暮らせるよう、社会全体であらかじめ備えておく社会保険のこと
- 前もって保険料を納めておくことで、必要になった時に「年金」として給付を受けられる
- 20歳以上であれば国民年金に加入が必要
- 会社員は国民年金と厚生年金に加入する
年金と聞くと高齢になってから給付を受けるイメージが強いですが、障害や死亡といった万が一の時にも備えられる制度です。
公的年金制度には大きく分けると「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、それぞれ65歳を過ぎてから年金を受給することができます。(2023年3月現在)
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | |
納付方法 | 保険料は自分で納付 | 厚生年金の保険料とともに給与から天引き | 第2号被保険者が加入する保険制度から納付されるため、自己負担なし(無料) |
加入年金 | 国民年金のみ | 国民年金と厚生年金 | 国民年金のみ |
対象者 | 自営業、フリーランス、学生、無職など | 雇用されて働く会社員・公務員 | 年収130万円未満で、配偶者や両親(第2号被保険者)に扶養されている人が該当 |
年金の被保険者の分類は3つ
年金の被保険者の種類
- 第1号被保険者 自営業、フリーランス、学生、無職など
- 第2号被保険者 会社員、公務員など
- 第3号被保険者 年収130万円未満で第2号被保険者に扶養されている方
年金の被保険者には第1〜3号の3種類があります。
在職中に厚生年金に加入していた第2号被保険者は退職後は第1号被保険者に切りかえるのが一般的ですが、該当する場合は第3号被保険者(家族の扶養に入る)へ切りかえる選択もできます。
離職期間がない場合は手続き不要
退職日の翌日に入職する場合、年金の切りかえ手続きは不要です。厚生年金の加入手続きは新しい職場が行います。
転職先は決まっているが離職期間がある場合は手続きが必要
入職日が退職日の翌々日以降になる場合は、国民年金への切りかえが必要です。国民年金に切りかえる場合は、被扶養者の手続きも必要になります。
第1号被保険者への切りかえ方法
手続きする場所
最寄りの役所(住民登録されている市区町村)・年金事務所
必要な持ちもの
退職日の翌日から14日以内
年金手帳・印鑑・身分証明証・離職票や退職証明書など退職日が確認できる書類
離職票や退職証明書は退職時に職場が用意してくれます。職場に年金手帳を預けている人は、忘れずに受け取りましょう!
第3号被保険者への切りかえ方法
第3号被保険者になれる条件
- 第2号被保険者である配偶者に扶養されている
- 20歳以上60歳未満
- 年収が130万円未満かつ配偶者の年収の1/2未満
手続き方法
第2号被保険者の勤務先を経由して年金事務所が行う
離職期間中の未払いに注意!
退職月の年金保険料の支払いは、月末時点で就業先に所属しているかどうかが重要になります。
国民年金への切りかえ | 3月分の保険料 | |
3月31日退職、4月5日入職 | 必要 | 新しい職場の4月分の給与から天引き |
3月25日退職、4月1日入職 | 必要 | 4月末までに自分で納付が必要 |
月の途中で退職してしまうと給料から天引きされず、自分で納付が必要です。
特別な理由がない限り月末まで在籍した方が、うっかり未払いを防止できそうですね♩
保険料の納付方法
退職して第1号被保険者となった場合は、日本年金機構が発行した納付書を使用して、自分で保険料を納める必要があります。
保険料の納付方法
- 金融機関での支払い
- 電子納付
- 口座振り込み
- クレジットカードでの支払い
1ヶ月ごとに支払うか、6ヶ月分・1年分・2年分をまとめて前払いで支払うか選択でき、前払いだと割引が適用されます。
旅行や留学で半年〜1年ぐらい長期間お仕事の予定がない看護師さんは、まとめて支払っておくと払い忘れ防止になりますね!
国民年金保険料は社会保険料控除の対象になる
国民年金保険料は所得控除のなかの「社会保険料控除」のひとつです。年末調整や確定申告で控除を受ければ支払う所得税を節税できるので、忘れずに申告しましょう。
申告するためには、日本年金機構から送られてくる「社会保険料控除証明書」が必要です。送られてきたら内容を確認し保管しておきましょう。
年の途中で転職して、国民年金保険料を数ヶ月間支払っている場合も控除の対象になります!
コメント